
孟夏のつづく季節、都会を雑踏を離れて、緑蔭の広がる避暑地に出かけてゆっくり心身を癒やす時間を求めるようにしている。
耳を澄ますと小川のせせらぎの音がサラサラ、小鳥らの鳴き声、鶯の囀りホーホケキョ、谷渡りのチィーケキョケキョ、ひがらのチビチ、チビチチィーなどの聞きなしが音の風景となる。一緒に歩いた仲間の一人から小鳥も三五度の暑さを感じるとピタッと鳴き止むとのこと、健康留意の目安となりそうだ。
河原付近の叢では、近隣の子供たちが元気よく遊び、地べたに目を見遣ると、
ふんころがしという蟲を見ていて、詩が生まれてくる。「ころころ、ころころころがす。忙しく丸く、小さな地球みたいな糞を転がし続ける、糞転がしの地球は今も元気だ。フン!。
こんな自然観溢れるところにいても、ノートPC機器を持ち込んでいる自分がいる。
きっと多くの人が同じように鞄に入れ持ち運び、時には移動時間を此れに費やす人も多いに違いないだろう。
WICCA やLINE でのデータファイルの送受信はあとあとの保存置き場にはならない。一過性の送受信で相互各々が常にこまめに保存をかけていくしかない。注意して保存するように努めるのだが・・・・。
茲に吾人の失敗譚をご披露すると、アメリカ製の持ち運び可能な五テラのハードディスクに収めた情報がこれまでに吾人は三台も破損してきている。当時、五テラの保存容量に魅了されたので続けざまにデータ資料保存として求めたのだが・・・。今の思いはやはり、日本製に優るものはないという見解に至っている。日本の東芝製のハードディスクが撤退したのが手痛いのだが、昨今、この暑さで人の移動が多い飛行機、電車といった乗り物のなかで乗客が鞄にスィッチONのまま入れて運ぶさなか、加熱されたリチウム電池からの発火騒ぎが増えつつあるようで、何事も要注意の世の中となってきている。
いま、吾人は失われてしまった古い破損資料の記憶からの復元化を行い続けている。すべて保存することを根気よく行うことが日々の作業とするなかで、忘れてはならないのだが、深夜に亘る作業結果は、ついつい眠氣が襲いくるので後回しにしてしまうこともあってか、保存箇所が特定の機器だけになっていると、一等大事なデータが失われてしまう可能性が高くなり、その復元作業は記憶作業に依存することになっていく。とは言え、人間万事塞翁が馬、二度三度と校正する以上に遺った記憶の片隅部分が珠玉な内容に変わって表出するきっかけにもなるのだから・・・・・。ある意味での埖(ごみ)処理になっていたりする。何事も諦めないことを追記しておきたい。
茲に引用した資料は、軍記物語『太閤真顕記』〔巻一下〕
○扨信長には健(シゴヤカ)かなる中間百人をゑらみ出させて五十人つゝを主水、藤吉郎に預けべしと其頭(カスラ)の者に命せられ、扨又八尺の竹刀五十本、丈余の竹刀五十本とゝのへさせられ、短き方をハ主水に玉はり、長きを木下に玉はりける。{*鬮取(クヅトリ)。頭(カスラ)。差圖(サシチ)。}
*江戸時代の発音表記のなかにサ行音「す」が「シ」、逆に「し」が「ス」と妙味な発音を以て書写している。活字ではない手書き写本からの資源言語が茲にある。
*約242.4 センチメートル。実際に使われる竹刀ではこの長さは極端に長く、通常の稽古や試合での使用には適さない。競技用では、一般的に最大でも三九(約120cm)程度が主流なので、八尺の竹刀は特殊な演武や示現流などの古流剣術に由来する。
斯うして読み解くと、信長が屈強な士卒を鍛えあげていたようすが見えてくる。常々の鍛練が人を社会を豊かにしていく源となっていると見た。
木の蔭に 真夏の暑き 陽差すもや 蝉音(せみね)すらくも 寄合水(せせらぎ)まさり
《補助資料》
『広辞苑』第七版(C)2018 株式会社岩波書店
せび【蟬】「せみ」に同じ。〈新撰字鏡(2)〉蟬
せみ【蟬】(「蟬」の漢音が和音化したものという説と、鳴き声によるという説とがある)
①カメムシ目セミ科の昆虫の総称。頭部は低い三角形で、両側に丸い複眼があり、その間に3個の赤い単眼がある。腹面の長い吻で樹液を吸う。雄は腹面に発音器を持ち、鳴く。雌は樹皮に産卵。孵化(ふか)した幼虫は、地中に入って植物の根から養分を吸収し、多くは数年で成虫になる。クマゼミ・アブラゼミ・ヒグラシ・ツクツクボウシなど。せび。〈夏〉。万葉集(15)「滝もとどろに鳴く―の」②雅楽の横笛や能管の部分名。吹口と頭端との中間背面を3分ばかり切り除いて蟬形の木でふさいだもの。③帆柱・旗竿などの先端に付けた滑車。菟玖波集「島陰の舟の帆柱―有りて」→和船(図)
蝉
糞転がし
横浜市都筑緑道*熊田千佳慕さんの「糞転がし」の精細な図絵が脳裡を掠めていく。
ふんころがし『新明解国語辞典』第八版〔三省堂〕
ふんころがし【〈糞転がし】タマオシコガネ[5]の俗称。体は丸く、黒色の甲虫。動物のふんを丸め、後ろ足で後ろに転がして巣穴に運び入れ、食べたり卵を生みつけたりする。日本にはいない。古代エジプトでは太陽神の化身として崇拝された。スカラベ[0]。
〔コガネムシ科〕[かぞえ方]一匹











