萩原 義雄 記

寒い朝、寒い夜と続くと、「寒いね!」と言うことばが口をついて出る季節を迎えている。二月の異名は、「衣更着」など、その人が暮らすようすをことばにしてきた。戸外で活動する人たちにとって、着物の重ね着は欠かせない。ところが、某メーカが薄くて温かい素材で汗をかいてもその汗も抜けやすいという服を売り出し、これを求めて重宝していると、更衣室談義で聞いた。戸外でのスポーツだけでなく、戸外で働く人たちにとって朗報である。また、貼るカイロが身体を温めてくれる。

指先や耳などの末端部位、くびれた部位に血行促進のゆっくりと擦(さす)ってみるのも良い。くびれの部位は常に意識してよい。これだけでも日々繰り返し行っていれば、効果覿面である。吾人は、大学主催、社会人対象の日曜健康づくり講座に出講している。ここで、日々の実践を体感することをこころざしてきた。この活動も始まって愈々35年を迎えようとしている。若きは高校生から、大人は80歳代の人まで各々に見合った運動をしてきている。

「よく動き、よく食べ、よく休む」ことが鉄則であり、これをながくながく継続することが何よりも肝要なのは言うまでもない。

この時季、風邪もひきやすい。集団生活する学校や会社に、寮などに一人風邪の症状がある人がいるでけでもたちまち蔓衍する。このインフルエンザが今年も猛威をふるっているという。手洗い、含嗽もさることながら、お茶を舐めるように小忠実に飲むことをまず奨めたい。あと、秘伝中とは言わないが、風呂上がりに足の甲の部分に冷水をかける。これはびっくりする効果ありなので是非、お試しあれ。

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「のこりたる雪」とは、兼好法師『徒然草』第〔1331(元弘1/元徳3)頃〕150段に、
●北の屋かけにきえのこりたる雪の、いたうこほりたるに、さしよせたる車のなかへ[轅]も、霜いたくきらめきて、有明の月さやかなれとも、くまなくはあらぬに、人はなれなる御堂のらう[廊]に、しり[尻]かけて物かたりするさまこそ、なにことにかあらん、つきすましけれ。
 
と書いている。昨今の都心にも雪が積もり、「のこりたる雪」がところどこに見えている。今も昔も変わらぬ原景の一コマが「友待つ雪」のように垣間見えてくる時でもあるまいか……。
 
◆駒大日曜健康づくりジョギングコース講座「2018年1月26日付け、朝日新聞夕刊に「64オリンピアンをたどって5」に創始者森本葵先生が取り上げられています。吾人もこのうち、15年、ご一緒させていただいてきている。そして、先生を囲む会からはじまった「KOCC」の懇話会がその有志の力添えで今も運営され続けている。
 
◆「のこりたる雪」は、○『万葉集』〔八C後〕卷五・八四九に、「残りたる雪にまじれる梅の花早くな散りそ雪は消(け)ぬとも〈大伴旅人〉」や、『源氏物語』〔1001(長保3)〜14年頃〕浮舟〔日本古典文学全集一四八頁〕に、○京には、友待つばかり消え残りたる雪、山深く入るままにやや降り埋みたり。○浮舟「ふりみだれみぎはにこほるゆきよりもなかそらにてぞわれはけぬべき」とある。
 
◆「友待つ雪」を詠んだ歌
(1)白雪の色わきがたき梅が枝に友待つ雪ぞ消え残りたる(『大伴家持集』二八四)
(2)春の日のうららに照らす垣根には友待つ雪ぞ消えがてにする(『堀河院百首』残雪・九一)
(3)降り初めて友待つ雪はうば玉のわが黒髪の変はるなりけり(『後撰和歌集』冬・四七二)
(4)訪はるべき身とも思はぬ山里に友待つ雪の何と降るらむ(『新拾遺和歌集』冬・六五七)
〔情報追記〕京都和菓子店「龜廣脇」に菓子名「友待つ雪」がある。http://kamehirowaki.com/