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萩原 義雄 記

ここに来て大型台風が日本列島を南から北に猛威を揮い、台風一過の秋晴れはまだお預け程遠い気がしている。気象予報に沿って、交通網も早めに運行停止し、大雨大風に備えてきた。実際、二時間程度の所要時間を使って大学まで通う学生にとっても、難儀な季節でもあったであろう。都会の交通網は充実しているとは言え、停電・人身事故などひとたび事故が発生すればストップしてしまい、復旧作業が急がれることになる。
「じこ【事故】」と云うことばを三省堂『新明解国語辞典』第四版特装愛蔵版(一九九五(平成七)年第十刷)で繙くと、
‡じこ①【事故】㊀不注意などが原因で起こる人災。「―を未然に防ぐ・大爆発―が起こる・流出―が起こる・大きな―見舞われる:無―」②・交通―⑤・―死②」㊁何かの実施・実現を妨げる、マイナスの事情。「―のため欠席:―止ヤミ⓪ 」かぞえ方㊀は一件〔五二〇頁第三段所収〕
ここで注目すべき意味づけがあって、「㊁何かの実施・実現を妨げる、マイナスの事情」と云う、私たちは日々のくらしのなかでこのマイナスの事情と表裏一体、紙一重を乗り切ってきた。マイナスはプラスとならずともゼロでも良い。「事故あり」より「事故なし」と報告書に記録する書記する責任者にとって重みがそこには存在する。決して都合に併せて繕ってはならない。「お天道様が見取るぞ!」と屋内・屋外活動に関わらず、私たちは人として誡め教訓として学んできた。そんな電車マナーのコマーシャルが近ごろ流れていたりする。
この十月は、学校でのイベント活動や各種競技会も活発化していく。なかでも新人戦という夏合宿で培われた初年度生たちの活躍が楽しみな季節と言えよう。ベストを最大限に尽くすことが一点の輝きともなろう。「さぁ、君の世界をみせたまえ」明日は、スポーツフェスティバルが二子玉川キャンパスで催される。

《補助資料》
小学館『日本国語大辞典』第二版
おてんとう‐さま[おテンタウ‥]【御天道様】〔名〕(「さま」は接尾語)敬い親しむ気持をこめて、太陽を呼ぶ語。お日様。*浄瑠璃・平仮名盛衰記〔一七三九(元文四)〕三「此おれは親代々楫柄(かぢづか)を取て、其日暮(そのひぐらし)の身なれども、お天道様が正直」*滑稽本・浮世風呂〔一八〇九(文化六)〜一三〕前・上「おておてんま(おてんとうさま)、おあがや、おあがやひった(おあがりなされ)」*人情本・三日月於専〔一八二四(文政七)〕二回「オヤ、もう昼だと見えて、お太陽(テンタウ)さまが真直になった」【方言】天。空。《おてんとうさま》岡山県御津郡764【発音】オテントーサマ〈なまり〉オテンドサマ・オテンドーサマ〔熊本分布相〕オテントサマ〔栃木・埼玉方言・千葉〕オテントサン〔栃木・埼玉方言〕テントーサマ〔栃木〕〈標ア〉[テ]〈京ア〉(テ)

おてんと‐さま【御天道様】〔名〕(1)「おてんとうさま(御天道様)」の変化した語。*明治浮世風呂〔一八八七(明治二〇)〕〈浮世粋史〉三「早いと云のア太陽(オテント)さまよりお先へ起たのが早いのだ」*土〔一九一〇(明治四三)〕〈長塚節〉二七「本当に暖(ぬくと)く成ったんだよなあ日輪(オテントサマ)まで酷(ひど)く眩(まちっ)ぽくなったやうなんだよ」*彼岸過迄〔一九一二(大正元)〕〈夏目漱石〉風呂の後・二「御天道様(オテントサマ)が向ふ側にあるんだから其一人々々が何れも是もみんな灰色の化物に見えるんで」(2)(丸くて光っているところから)五十銭銀貨をいう、盗人仲間の隠語。〔隠語輯覧{一九一五(大正四)}〕【方言】天。空。《おてんとさま》東京都三宅島322 愛媛県周桑郡844 松山846《おてんとさん》香川県830《おてんとはん》愛媛県周桑郡844【発音】〈標ア〉[テ]