萩原 義雄 識

季節感があってか、愈々、梅雨前線が長く日本列島に停滞するときがやってきている。気象衛星が地上に懸かる雨雲を精確に解析し、情報画像を刻々と伝えて、個人のモバイル携帯でも受信可能となっている。言わば、目覚ましい進歩を遂げたその気象情報が入手できるということだ。次に必要なのは、瞬時にその入手情報をもとに、どうすべきかを見極め対応できる能力となる。これもAIが割り出すとなれば、人はその情報処理された内容を実行に移すことになろう。だが、これすら自動化が進むと人は何をめざすのだろうかと思う。

時は変わらぬのだから、基本は、良く寝て、良く食べ、良く動く。これを常態と位置づけ、新たな発見を求めて、その設計図を構築する。規模と費用の算出方法も探り、資金源に見合ったものづくりを求め、多くの人が喜んで受容してくれれば、広がりも生まれる。

では、受容の産物は、時に併せた仕組みに氣づくことにはじまり、一日の朝昼晩のどこに照準を併せ、選択肢を用意する。朝の時間であればこれ、昼の時間であればこれ、夜の時間であればそれと質も種類も当然異なってくる。

折角、時に分類しても、名もない産物では見極めづらい。そこで、人は同じ産物でも各々に見合う名前をつけていく。これをネーミング、命名すると云う。名づけることで人は親しみや愛着を持つことにもなる。名もないものこそ名を付加することで、ものの価値観が高まる。稀少な産物となれば、その価値観も鰻上りとなっていく。

先日も、日本の北海道鹿追(しかおい)と愛別で見つかった新種の鉱物(=紫外線にあてるとみどり、きい色に光る)に、「北海道石(ほつかいどうせき)」という名前がつけられ、鉱物学界に披露され、多くの方にも知られることにもなった。生成の仕組みが理会されれば新たな展開へと向かうことになる。たかが石、されど意味深い石となっているからだ。

だれかが氣づき、氣づいたからには、その真相を徹底的に試行錯誤を重ねてでも追及することで、ものごとのはじまりを知り、今に、そして近い未来に活かしていくことにもつながろう。

《補注》
(1)「つゆ【梅雨】」以前のまとまって降る雨を通称「麦雨(バクウ)」という。
小学館『日本国語大辞典』第二版
ばく-う【麦雨】〔名〕麦の熟するころに降る雨。五月雨。*梁簡文帝詩-餞臨海太守劉孝儀蜀
郡太守劉孝勝詩「凉風遶軽幕、麦雨交新溜」【発音】〈標ア〉[バ]
(2)「ほっかいどうセキ【北海道石】」・・・各新聞、テレビニュースでも報道あり。
(3)「蓬緑(よもぎみどり)」越後産の健康食品、酵素ドリンク。当然『日国』には未収載語。
本草学の漢方用語「酸甘化陰(さんかんかいん)」も『日国』未収載語。