現在・過去・未来の世の中を人はときに往き来する。時空間を超越し、やがては夢の御伽譚でしかなかった事物が現実のものとなっていくと実感する。日本の大阪では来月5月2日を以て、科学万国博が開催され、文化・科学・音楽・影像・芸術などがお披露目される。
此に併せて、大学での実演制作活動なども話題のひとつになっていて、ふだん何気なく意識されずに見てきた創像物が観られるのも大きな特徴となっている。
この現実とのつきあわせが虚と実の間(はざま)から解き放たれていくといっても過言ではあるまい。
時節は、地球規模での異常気象を止むことなく生みだし、西欧諸国でも此の3月に長雨が降り続き、大雨洪水雷雨注意報が出された地域もあった。吾人も、イタリア国フィレンツエに滞在中に洪水やら雷雨の影響で、多くの交通機関に遅延などが生じたりし、雷電がネット通信を遮断する原因にもなった。一四世紀のヨーロッパが抱えた①寒冷化 ②自然災害(洪水と蝗害) ③農業危機 ④ペストによる人口低下 ⑤死亡率の増加 ⑥社会構造の変化が繰り返されているともとれよう。
こうした自然環境と社会環境は依存しつつ、人類はまた新たな一歩を踏み出そうとしている。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)注1を中心とする宇宙開発事業は此れからも多歧に亘る可能性を秘めていると信じる。
そのうえで、吾人達が生きる此の地球の生命体とそのエネルギー機構の構造を此れからも一つずつ丹念に明らかにされねばなるまい。
人と人との交流が実に大切な有効手段となろう。人が持ち得てきた諸の多言言語による統括能力がここに来て現実化してきている。注2そのひとつに、「ことばのなかに成ったものは生であり、その生は人にとって光りとなる」注3=永遠の生を択ぶということにもなることが具言化しているという未来志向が見えて来ている。
日本の支え合うデザインの発想がまさに次なる世代に橋渡していくときが今なのだとすれば、生きるひとり一人の役割がそこには存在すると吾人は伝えておきたい。今まさに、その瞬間が感じられるときとなってきた。
《補助資料》
⑴ JAXA(宇宙航空研究開発機構)https://www.jaxa.jp/
国内・国外の自然災害における「だいち2号」による緊急観測対応について(2024年1月~12月)
⑵ AI 生成言語による諸言語によることばの融合化。
①ASAP(エサツプ)=できだけ早くの意。イタリア語でappena possibile。
②デジタルは、フラス語でnumérique 。
③「てぇてぇ」という若者ことばは、「胸キュンするもの」の意で、現代かなづかいにはない「ぇ」表記が用いられている。基本の語は「尊い」か。
④「やらなさそうな」が「やらなそうな」と「さ」ぬきことばに。
⑶「生は人にとって光り」〔ヨハネによる福音書1,3〕人は誰しも、自分の理想という名の「光り」に向かって行動する。
⑷ 金継ぎと師
第216回|人と人のデザイン交流
萩原 義雄 識