駒澤大学本校キャンパスの開発が愈々始まり、目を見張るくらいキャンパスの体育館及び中庭を含めた景観の様相が日一日と変容を続けている。世の中でも同様に、変容する事物がいくつかあって面白い。ハローキティとペコちゃんがコラボした新作スイーツ発売されたり……。伝統あるものを備えていてこそのアレンジメントとも云える。

いちご大福

今、イタリア国ミラノ万博が開催されていて日本の食文化がいきづいている。例えば、発酵食品は、今や世界中に日本食の定番のひとつとして知られるところとなった。四季折々の味わいは、その基本でもある日本列島の自然がつくり出していることに氣付かされる。山高く水が一気にに川から海へとそそぐ列島の地形が私たち日本の水と食における暮らしのなかにとっぷり融合しているからだ。此の水こそが軟水であることでコクのある昆布や鰹節などによる旨味の出汁が表出する。食の文化でも和菓子とスイーツが一つとなって数十年となる「いちご大福」も餡に包まれて覆盆子の発酵がもたらす食品として広がってきている。

玉漿備前

キャンパスの隣駒沢公園では、年間を通じて食も含めさまざまな催し物が開催される。この世田谷に居て、あらゆる珍しき品々が観て触って味わうことができる。近くは陶器市が開催されていて、備前焼きの小石のような焼き物が私の目を引いた。その名は「玉漿備前」、「不老長寿の水を作る玉(Viral Ceramics Ball)と、元岡山セラミックセンター所長・現岡山理科大学の光藤祐之教授によって命名された」と説明書きにある。実験例として①食物応用②生活活性応用③動物・植物活性応用とそれぞれ箇条書細目の説明があって末部に、「面白い研究をお知らせ頂きますれば」とある実験販売の代物であった。

夏真っ盛りに向け、私たちの体内にとっても水分補給が日増しに多くなる。華道では「備前花器に活けた花は美しく映え、花が長く生きる」と云い、茶道にあっては「茶会には水哉がめに、一晩汲み置きした水を用いること」を作法としてきたと云う。その造形と使い回し様は変われども現代に活きづいた品々を深く味わっていきたい。

※「いちご大福」の元祖は、三重県上野にある「欣榮堂(きんえいどう)」と云うお店。全国的な大人気となり、たちまち、和菓子界を席巻。今では各地の和菓子屋に季節の風物詩のように店頭に並ぶ。

萩原 義雄 教授 萩原 義雄 教授(Hagihara Yoshio)
駒澤大学 総合教育研究部 日本文化部門 [専門分野]日本語学
研究テーマ
書記文字は、数千年の歳月を限りなく伝え続けてきた人類の文化遺産である。 字書が成り、辞典が編まれ、これらを駆使して日常の生活基盤を養ってきた。 この文字基盤とことばの類型を理解しながら、21世紀の情報最先端技術を導入しつつ、「故きを温ね新しきを知る」、日本語の書記文字世界を凌駕する。