萩原義雄記述

新米が収穫され、いま各地域でのブランド米が各家庭に届く頃となった。食の文化というなかで私たち日本人は「米」を主食としてきた。美味しい米の品質を知る表示に「特A」とし、日本全国の農家は「特A米」を目指して鎬(しのぎ)を削っているという。「コシヒカリ」「ササニシキ」は嘗てのブランド米の銘柄であったが、その名も「ゆきひかり」「華麗舞」「青天の霹靂」などひらがな、漢字表記の品種が目立つようになってきている。米ではないが、食品のなかで最も品質の高いものは、日本人の口に入らずに海外市場に送られているともいう。品質と価格との整合性がいつしか失われているともとれよう。安価でより品質の高いものを多くの消費者に送り出すことの大切さが問われていると見ても良い。

大学教育のあり方を本学の教育学専門の某先生が農家の米作りに喩えてきた。作り人が教師であり、天候に左右されることが多いのだから昼夜を問わず見て回る。手を差し出す。土の温度を測る。茨城県の農作は関東ローム層地下1.5メートル黒・茶・黄土が良質の作物を育てるという。土が低温であれば植物の根は腐ってしまう。低温土は作物作りに向かない。人づくりの塲も同じだと私に説いてくれた。

錦秋の頃を迎え、校内のおす・めすそれぞれの鴨脚樹(いちょう)の大木の葉色が日ごとに変容してきている。銀杏(ぎんなん)の実が特有の匂いで四辺(あたり)を包んでいる。自然が私たちに教え諭してくれることが多々ある。これを感知できる精度を私たちは養うことを忘れてはなるまい。

図書館で書籍を読むこと2010年(平成22年)「電子書籍元年」から5年を経たが「文章をじっくり読むならスマホより紙の本」という意識が強く働く。情報収集・検索にネット機器は効率が良いことは言うまでもない事実だ。だが、その得た情報を濾過し、解析しうる資質を養うことに主眼があることも慥かなのではあるまいか。

《補助資料》
※「特A米」一般財団法人「日本穀物検定協会」が米の食味ランキングとして、炊飯した白飯を実際に試食して評価する食味官能試験に基づき、昭和四十六年産米から毎年全国規模の産地品種について実施してきている。
http://www.kokken.or.jp/ranking_area.html

※「華麗舞」有機栽培オーガニック米「えちご三四郎」農場〈田んぼ〉華麗舞
http://nouka346.com/tanbo/kareimai/

※「青天の霹靂」NHK おはよう日本 2015年10月6日(火)特A米 激化する産地間競争
http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2015/10/1006.html

※「関東ローム層」の土
http://www.city.wako.lg.jp/var/rev0/0018/2237/201321316241.pdf

※ 「低温土」耕さない『田んぼの学校』〜耕さない田んぼの生物多様性とその活用〜
http://www.eonet.ne.jp/~g-san/

※「電子書籍元年」電子書籍元年とは、日本において電子書籍に関する市場が活況を呈しはじめた2010年を形容する表現である。2010年には、日本ではスマートフォンをはじめ、iPadやSmartia、Sony Reader、GALAPAGOSなどの電子書籍リーダーとして利用可能な端末が多数発売され、電子書籍ストアもビューン、BOOKWALKER、TSUTAYA GALAPAGOSなどが多数開設されている。そうした市場の変化を端的に表す表現として、「電子書籍元年」という形容が用いられている。
http://www.sophia-it.com/content/電子書籍元年

日本電子出版協会
http://www.jepa.or.jp/keyperson_message/201506_2449/

【図書館】駒澤大学 図書館誌 第二号